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2017年は東南アジア諸国連合(ASEAN)50周年記念の年です。実に多くの祝福すべきことがあります。しかし、大事なことは50周年はASEAN諸国の未来とその先に待ち受けるものが何であるかについて考える節目の年でもあるということです。

5月にプノンペンで開催予定の世界経済フォーラムASEANサミットがまさにそのことを反映した内容となるでしょう。

サミットのテーマは「若者、技術、成長 -ASEANのデジタルと人口ボーナスの確保」で、それぞれASEAN地域の未来への重要な問いかけを含んでいます。

経済成長はエンジンのようなもので賃金と繁栄を促すために非常に重要であります。年間約5パーセントの成長率や莫大な規模で中流層を構築したパワーのように、ASEAN諸国は近年素晴らしい実績を見せています。2016年はASEAN10か国が団結し、世界で7番目の経済規模を示しました。2017年までにその順位は6位まで上昇し、2020年までに5位まで上り詰めるでしょう。

しかし、これと同じくらい印象的なのが、ASEANが非常に速いスピードで成長してきて今もなおそうであるということです。実際のところ、7パーセントの成長を目指しています。5パーセントと7パーセントではその差は小さいように見えますが、人々の懐の深くまで影響力を感じることとなるでしょう。5パーセントの成長で、ASEANは15年で賃金が2倍に、7パーセントだと10年で2倍に増えます。7パーセントの成長を達成する為に、ASEAN諸国はインフラ整備や教育など各国の国内の問題に焦点をあてて取り組まなければなりません。

そこでは国の規模も重要となります。各国がASEAN経済共同体(AEC)の取り組みを後押しをすることで著しく利益を得ることになるでしょう。AECが新たな単体市場になり、モノの動きを統合するという約束を果たす前段階のままのものが多いからです。AECが真に実現しないまま、現地のビジネスの規模拡大や、グローバル競争力を獲得するために奮闘するでしょう。そしてその結果、消費者は製品やサービスに対してさらにお金を注ぎ込むことになります。中国・インドは巨大な国内市場により利益を上げ続けるでしょう。

成長度合いが成長の質であることは危機的な状況です。悲しいことに、多くのASEAN諸国内で不均衡状態が顕著になっています。全ての国が平等に利益を得るのではありません。世界経済フォーラムの包括的成長・開発レポートが今年の1月に発表されましたが、それは政府がもっと公平な成果を保証するために用意した政策手段を綿密に見ていることがわかります。その答えは税の再分配の下に進めればうまくいくということです。実際のところ、再分配は本当に最後の手段として実行すべきでしょう。

若者はASEAN諸国にとって第2の大事な要素です。依然として、ASEANには6億3,000万人の若者がいます。(シンガポールやタイは高齢化がすでに進んでおり、全加盟国が該当するわけではありません。)
若者や人口増加により、国の経済発展推移・強力な人口ボーナスの保証が生み出されます。労働者世代の人口が増えると、その地域の消費が急激に増加し、また貯蓄や今後の投資へのキャパシティも増加するでしょう。

そしてまだ何の保証はありませんが、該当地域の人口ボーナスについては時間の限界があります。2025年までにASEANのほとんどの国で高齢かが始まります。政府と立法機関は人口ボーナスの実現化を確証するための法整備が求められます。

若者は教育や将来就く仕事のためにどんな準備をするのが一番良いのかについてよく考えるものです。環境・年金・ヘルスケアのような世代間流動性不安のある国を認識しなければなりません。現在の成長は未来の世代の頑張りから得ることはできません。政府は持続可能な財政・環境のためにどのような長期計画を考えるべきでしょうか。

今回のサミットのテーマの3つ目は技術です。ASEANは1967年に設立され、その頃というのはインターネットが作られるわずか2年前のことです。ASEANの登場はまさに完全に第3産業革命を彷彿させるもので、コンピュータや通信によって運営されてきました。

ASEANは50周年をめでたく迎えます。今日では、世界は第4産業革命の移行期に立っており、人工知能・機械学習・自動運転車・ユビキタスモバイルインターネット・遺伝学の急速な発展・物質科学・超安価オートメーションのような技術が利用される時代です。

ASEANがさらなる50年を目指すのであれば、テクノロジーの変化やデジタルディスラプションの急速なペースにどのように対応するかの難題に取り組まなければなりません。一方で、第4産業革命は財政算入・行き届いたヘルスケア・新しい教育方針・新たな企業やサービス部門の仕事により、莫大な利益をもたらすことができるでしょう。

現在のASEANは、世界インターネット市場を最速で成長させています。Google社とTemasek社の試算レポートによると、該当地域のオンライン利用者人口は毎日124,000人ずつ新しいユーザーが増えています。そしてこのペースで向こう5年は推移し続けるでしょう。

しかしながら、技術にも困難なことが多くあります。ロボットがさらに安価になったとき、製造業は仕事を生み出すことができるのでしょうか。IT技術のスキルをどのように享受し、活発な革新エコシステムを生み出すでしょうか。第4産業革命が繁栄する中、政府はどうすれば受入可能な環境や地域デジタル経済の結びつきを築き上げることができるでしょうか。

とにかく重要なことは物事の透明性です。デジタル技術が汚職や不正を暴く助けとなりますが、それによって社会的フラストレーションや崩壊を招くことが考えられます。しかし、これらの技術はまた悪い慣行をなくすことへの可能性も持ち合わせています。

企業・政府・教育機関・市民社会から輩出された750名以上のリーダーとともに、カンボジアで開催されるフォーラムのサミットはこれらの大きな問題の討議だけでなく、解決策のブレーンストーミングやアクションを起こす引き金となるきっかけの場になることでしょう。